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叙勲の栄誉に輝いた学友

令和2年秋の外国人叙勲

令和2年(2020年)秋の外国人叙勲では、米山学友3人がその功績により叙勲を受章しました。誠におめでとうございます。
 
 
旭日中綬章

謝牧謙さん / SHIEH,MU-CHANG

(1965-67/仙台RC、1989/大洗RC)

専門は原子力工学。台湾の原子力開発・利活用の分野で幅広く活躍。東北大学大学院博士課程在籍時に米山奨学生となる。帰国後は台湾の核能研究所(Institute of Nuclear Energy Research)に勤務する傍ら、清華大学や成功大学などの教授として教鞭を執った。2020年11月現在、輔仁大学兼任教授、台湾大学・文化大学日本研究センター諮問委員。

 

 

 

 謝さんからのメッセージ 

受賞の喜び ~恩を忘れず 報いは求めず~


この度は、令和二年秋の叙勲「旭日中綬章」の賞を賜り、身に余る光栄です。受賞理由は「原子力分野における日本、台湾間の学会、産業界の交流深化及び相互理解の促進に寄与」です。

過去を顧みますと、1962年4月は私の人生の初船出であり、日本向けバナナ輸出専用船「僑果輪」で神戸に降り立ち、初めて日本の土を踏み、甚く感激いたしました。翌日仙台に向かい、十年に及ぶ東北大学の学究生活がスタートしたのです。

在学中は、ロータリー米山奨学金のお陰で、順調に学業を修めることが出来ました。恩師である岡部泰二郎先生の教学理念、すなわち、孔子の啓発教育「子曰:不憤不啓、不悱不発、挙一隅、不以三隅反、則不復也」注1は、私の思考に大きな影響を与えました。

1971年に帰国、核能研究所に奉職し、原子力研究に従事しながら、成功大学、清華大学、中原理工大學などで教鞭をとり、同時に、日台間の原子力交流につとめ、ほぼ毎年、日本の「原子力産業年次大会」に参加したほか、「日台原子力安全会議」「台日工程技術研討会」の企画に携わり、原子力分野の人脈を築き上げました。

2002年に核能研究所をリタイヤしましたが、その後も核能科技協進会の執行長を務め、日台間の交流を継続しながら、台湾大学、輔仁大学、政治大学で教職を兼務しました。この間、交流の成果が認められ、中華核能学会最高の賞となる「朱寶熙記念賞」、日本機械学会の「功績賞」など、数々の賞を受賞することができました。

仙台で過ごした十年間に自然の美と人間の叡智に接し得たことは、私にとってまことに幸いでありました。リタイヤ後の第二の人生は奉仕の人生を送り、「恩を忘れず、報いは求めず」のモットーを堅持し、築いた友情の絆を大切に、今後とも日台友好の懸け橋として微力を尽くす所存です。一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。

 

注1:「憤せざれば啓せず、悱せざれば発せず、一隅を挙げて、三隅を以て反さざれば、則ち復せざるなり」。 即ち「一隅を教え、自ら三隅を研究するようでなくては、二度と繰り返し教える必要はない」という孔子の啓発教育の精神。