約8万人のロータリアンが支援
米山奨学事業は、日本最初のロータリークラブの創立に貢献した実業家米山梅吉氏の功績を記念して発足しました。1952年に東京ロータリー・クラブで始められたこの事業は、やがて日本の全クラブの共同事業に発展し、1967年、文部省(現在の文部科学省)の許可を得て、財団法人ロータリー米山記念奨学会となりました。
奉仕の人「米山梅吉」 Yoneyama Umekichi
米山奨学事業の記念の称号を付した米山梅吉氏(1868-1946)は、幼少にして父と死別し、母の手一つで育てられました。16歳の時、静岡県長 泉町から上京し、働きながら勉学に励みました。19歳で米国へ渡り、ベルモント・アカデミー(カリフォルニア州)ウエスレヤン大学(オハイオ州)シラキュース大学(ニューヨーク州)で8年間の苦学の留学生活を送りました。
帰国後、文筆家を志して勝海舟に師事しますが、友人の薦めで三井銀行に入社し常務取締役となり、その後、三井信託株式会社を創立し取締役社長に就任しま した。信託業法が制定されると逸早く信託会社を設立して、新分野を開拓し、その目的を”社会への貢献”とするなど、今日でいうフィランソロ ピー(Philanthropy*)の基盤を作りました。
晩年は財団法人三井報恩会の理事長となり、ハンセン病・結核・癌研究の助成など多くの社会事業・医療事業に奉仕しました。また、子どもの教育のために、はる 夫人と共に私財を投じて小学校を創立しました。”何事も人々からしてほしいと望むことは人々にもその通りせよ”これは米山梅吉氏の願いでもあり、ご自身の 生涯そのものでした。”他人への思いやりと助け合い”の精神を身もって行いつつ、そのことについて多くを語らなかった陰徳の人でした。
世界の平和を願って ―なぜ留学生支援なのか―
「今後、日本の生きる道は平和しかない。それをアジアに、そして世界に理解してもらうためには、一人でも多くの留学生を迎え入れ、平和を求める日本人と出会い、信頼関係を築くこと。それこそが、日本のロータリーに最もふさわしい国際奉仕事業ではないか」――。
事業創設の背景には、当時のロータリアンのこのような思いがありました。
それから60年余の歳月が流れましたが、”民間外交として世界に平和の種子を蒔く”という米山奨学事業の使命は一貫して変わっていません。
むしろ、今日の世界情勢と日本の置かれている状況を考えるとき、その使命はますます重要性を増しているのではないでしょうか。
留学生への支援は、未来に向かって平和の懸け橋をかける尊い奉仕なのです。
* Philanthropy: 語源はギリシャ語の「フィラン(愛)」と「アンソロポス(人類)」から由来している。人類愛・博愛などと訳され、今日的には「社会貢献」と訳される。
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